8月27日 道の草 公園の壁

初日ですが、オープンの12時になるまで、しつこく作業をしました。バミリ取りとか(みんなすっかり忘れていたのを、笹だけ気づいた)、ことばの壁のメンテナンスとか、マップの確認とか、ちくちく地区の追加とかしました。しているうちに、いよいよ『道の草 公園の壁』がスタートです。
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ちくちく地区 2011(2009-) 宮田篤+笹萌恵

たまたま神戸に来ていたらしく、名古屋市美のほざきさんに再会しました。『びじゅつ感』でお世話になって、『としょ感』でお会いしたきりなので、それから4年ぶりでした。最初なぜか大橋さんという名前が出て来て、あ、違う保坂さんだ、と思って、あ違う違う保崎さんだったと記憶が二転三転しまして、うーん、4年か…。

『としょ感』は、名古屋のエビスアートラボというギャラリーに誘って頂いて、始めて「微分帖」をした個展でしたが、『オランダ経由のポスティングシステム』といって、最近やってませんが、「白いポストカードに絵を半分描いてもらって、うらに宛名も書いてもらったのを預かって、旅先で描き足して郵送する」という作品に参加してもらったりしました。4年前には紹介だけして、微分帖はしていなかったので、お昼からのワークショップにお誘いすると、またいらしていただけるとのこと。

展覧会場には大きく分けてニュートラルなギャラリー空間と、いろいろな人が行き交ったりゆっくりしたりする1roomという空間と、ガラス面を隔てて外側までの空間の3つがあるのですが、その中の、いろいろな人がいる1roomで微分帖をはじめてみました。最近はいろいろな都合で、時間を決めて参加者を募るような”ワークショップっぽい”微分帖をしていたのだけど、きょうは久しぶりに、”そのへんの人に声をかけてやるほうの”微分帖です。

まず、車いすの充電をしながらおしゃべりしていた女性おふたりに話しかけて、サポートスタッフさんも交えて、微分帖をしてみました。これから会議なのだそうですが、時間まであそんでもらいました。途中でお知り合いがもうひとかたいらしたりして、「すぐそこから来たんだけど暑くて目の焦点がぼやけたのが面白くなってきて笑ったりしたはなし」ができました。

今度は、そのようすを見ていて気になっていたらしい、KAVCで雨やどり中のご家族とあそんでみました。近所に住んでいてフリマに行く途中で、館外に飾った「ええとこええとこ」とか水野くんの作品が気になって見ていたら雨がふってきて、ついでに中も見に来たのだそうです。小学生くらいの女の子と、その弟くんと、お母さんとぼくで、「この道をまっすぐ私と弟と優しいお母さんとフリマへいくはなし」をつくったら、やさしいお母さんのところに弟くんから疑問符が付いてしまったのでもう一枚ページをいれて、微分帖が1冊できあがりました。ことばの壁も、紹介したらいろいろと読んでいって下さったり、「ちくちく地区」の小部屋にもはいってくれてたりしました。しかもそこで寝てたらしい。そして、雨がやんだので、またフリマへと出掛けてゆかれました。

それから、展覧会と映画を見に来た、「私の息子も作家で心配している」というお父さまと、サポートスタッフさん、KAVCスタッフさんも交えて微分帖したり、人生のはなしをたっぷりしたり、また来て下さったほざきさんとも、はじめて微分帖してみました。計2時間くらいで、4冊、いい時間がすごせたような気がしました。

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ちくちく地区:新開地 2011 宮田篤+笹萌恵

それからすぐに、スタッフ用とお客さん用で、ぼくと水野くんとKAVC伊藤さんに、たまに笹も、交えて、2回アーティストトークもしました。あぁ、きょうはいそがしい。それで、微分帖についてはだいたい言うことがきまってきてるのですが、ちくちく地区の説明をちゃんとするのははじめてでした。話しながら、最近分かって来たことをまとめてゆくと、あ、なるほど、こういうことをしてたのか、と自分でも思いました。KAVCで文字おこしをしてくださったので、その辺だけ書いておきます。

宮田>
○『ちくちく地区:新開地』
「ちくちく地区」は2人のユニットでやっている作品です。(笹萌恵さんとの共作)。
どういうしくみで作っているかというと、2人でペアになって、フェルトに文字の形を切り抜いて、取り替えっこします。そうすると切り抜いた文字と切り抜かれた文字がピッタリはまることはまずありません。自分の筆跡や手癖とか、イメージしていたスケール感とかが必ずズレる。

そういうことって、このことに限らず、例えば二人で同じ話をしていても、イメージを書いたら違ったとかいう経験ってありますよね?そのズレを面白いと思っています。そのズレたところをもう一度平たく戻すために糸を使っています。「イト」というのは糸でもあるし、(アイデアとかインスピレーションとかの)意図でもあります。糸目にすることで、自分がこうすると二人のイメージがすれてても、ずれたままでもくっつくよね、という思考の軌跡が残っていきます。糊でくっつけてしまうと分からないんですよね。

>地区でやるのはなぜか?
「ええとこ」は新開地の商店街のアーケードを歩いていて沢山使われているのを見つけました。その場で暮らしている人たちが思っている「ええとこ」のイメージとぼくらが思っているイメージはかたちと同じようにずれていると思います。それを良いふうに捉えたいと思って掲げています。

水野>
この作品は宮田君が行う作業としては、仕掛けとか、切り離してそれを無理矢理縫い付けるとか、そういうシステムの部分を宮田君が考えたんですか?

宮田>
もともと僕が紙でやっていたのですが、縫えばいいと、笹からアドバイスを貰って始まりました。縫う事で糸目が残ってなるほどな、と。笹が主に縫いもの担当しています。もちろん縫いながら気がつくこともあるし、考えていても実際やってみたら違う事もあるし、基本的には二人でやっています。

水野>色とか生地のチョイスであったりとか、いろんな縫い方とか、これは笹さんの感覚ですか?

笹>はい。ただ、KAVCに展示しているのは、KAVCスタッフさんやサポーターの皆さんの作品もあります。そういうのは自分でどんな色がいいかなと決めてもらっています。縫い方は図案から入るよりは、ここを押さえなきゃ旗としてなりたたない、という急所を見つけてを押さえていく感じです。そうすると、結果的にそういう図案になるという。

糸と意図。糸目が思考の軌跡、ということになっています。

水野>かならずしも、笹さんが縫わなくても、どなたが縫っても、ちくちく地区として成り立つ?

笹>そうです。誰が縫ってもよくて、今回ギャラリーの右奥の隠れ家みたいなスペースに「ちくちく」を飾っているんですが、あれは全国のいろんなところで、こどもや一般の方とやってきたものを展示してます。

宮田>隠れ家みたいな、ちょっとかわいい旗が密集したみたいな空間の小部屋がありますので、停電しないうちにどうぞ。(笑) *この日は大雨で、街灯が消えたりしながらトークしていた。


それから、オープニングパーティーもありました。いろんな方にお会いできたのもうれしかったですが、お昼の印象から、この空間では1roomであるとか、サポートスタッフさんのかかわりというような、ガラス面での展開と、ギャラリーでの展開をつなぐものがとても大事だなぁ、と思ったので、できるだけひとりずつ、サポーターさんとそんなお話しをしたり、突然「しらん顔」というあそび(パーティーなどで、気づかれないうちに似顔絵を書いてプレゼントする。気づかれたり、気づいている人にはかかない)を思いついたのでやってみたりしました。

大変いそがしい3日間でしたが、なんとか、展覧会がはじまりました。
by ochakann | 2011-09-08 03:15 | 道の草 公園の壁/KAVC

【ちくちく地区:井野団地/宮田篤+笹萌恵】(取手アートプロジェクト/茨城)


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