日記/3月13日 ぼくらは微分帖のなかにいる

がんばれ日本、
がんばれ東北

記事「「がんばれ日本、がんばれ東北」英紙が1面でエール」より

ぼくは千葉県北部で被災しました。兼業美術家なので、勤めている老人ホームの遠足中、川沿いを歩いているところでした。もちろんとても驚いたし大変でしたが、一緒にいた認知証の方がこんなときでも変わらず「ごはん食べたい!」とか「え?地震あったの。へー」とか言っていて、妙に冷静になったりして、火事場の馬鹿力も使ったりして、ラジオから情報を入れ翌日なんとか帰って来られました。

昨日今日いろいろ考えたり、靴とリュックを近くに置いて寝たりしましたが、今晩ふと、ああぼくらは今大きな微分帖のなかにいるのだ、と思いました。微分帖とは

微分帖というのはぼくの見つけたおはなしの遊びで、つまりぼくの作品で、ぼくからの、世界をこんな風に見てもいいのかもね、という提案でもあります。

微分帖では最初と最後を決めたお話の真ん中を、みんなでふやしてゆきます。ぼくらの微分帖は、最初のページで大変なことが起きてしまったけど、ぼくらはもう最後のページを決めています。

最後のお話を決めているから、あとはもう真ん中のお話を、みんなで少しづつ書き込んでゆけばよいのだと思います。楽しく、力強く、優しく、注意深く、書けることを、書ける分だけ、次へつながる最後のページのお話に、つなげてゆけばよいのだと思いました。

ぼくは美術のことを考える専門家なので、そういうことを感じて、ここに書き留めておこうと思いました。まだまだ大変で、近くにいる人や家族や恋人の、ほんの少しの力にしかなれないけど、こんなにおおきな微分帖のなかで、いま色んなお話を書いて、これから色んなお話を書くのだと思うと、ぼくだけかもしれないけど、少し力が出ました。
by ochakann | 2011-03-14 01:40 | 微分帖のこと

【ちくちく地区:井野団地/宮田篤+笹萌恵】(取手アートプロジェクト/茨城)


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